ジョジョの漫画に描かれた数字が、後に起きた事件の日付と重なる。ボインゴの能力を知っている読者なら、「作者も未来を見ていたのでは」と考えたくなるかもしれません。
とくに有名なのが、第3部の作中漫画と9.11を結び付ける説です。何が似ていて、何が違うのか。出版の時期と現実の出来事を分けながら、予言に見える仕組みをたどります。
作中の能力と、作者が現実の事件を予知したという主張は別です。数字や図柄の一致を紹介しても、事件の予知を証明したことにはなりません。
ボインゴの漫画が9.11を予言したという説

第3部のボインゴは、未来を本に示すスタンド「トト神」の使い手です。アニメ公式のキャラクター紹介でも、その予知能力が説明されています。まず、これは作品の中の設定です。

都市伝説では、作中漫画の人物のシャツにある数字「911」、時刻への言及、飛行機や細長い柱のような図柄を、2001年9月11日の米同時多発テロへ結び付けます。文字や絵が並んだ一ページに、後の事件を連想する材料が集まって見えるわけです。

刊行日は事件より前。ただし、日付の一致だけでは証明にならない
この噂はウレぴあ総研の2011年の記事でも、単行本20巻の場面をめぐる話として紹介されています。集英社の第20巻の書誌情報による紙版の発売日は1991年2月8日。事件より前に刊行された巻であることは確かめられます。
ただし、漫画で起こる出来事は現実の航空機による攻撃と同じではありません。時刻の数字が近いとしても、それを「事件が起きた時刻」と一つにまとめるのも不正確です。多数の絵や数字の中から、事件の後に似た部分だけを選んでいる可能性も考えられます。
面白いのは、予知を扱う漫画の中にあるからこそ、現実との偶然も「もう一つの予言」に見えてしまうことです。作者がなぜ描いたか分からないと語った、という話も流通していますが、今回その発言の一次資料は確認できませんでした。
小林玉美や過去作は、現実の事件を予見した?

第4部の小林玉美は、相手の罪悪感につけ込む人物です。公式の人物紹介でも、罪の意識による重圧を与える能力が説明されています。
この人物や『魔少年ビーティー』の悪役を、後年の家族支配事件と重ねる読み方があります。しかし、心理的な弱みを利用するという共通点があることと、特定の事件を予知したことは別です。実際の被害を、漫画の能力を証明する材料にすることはできません。
むしろ、人の罪悪感や恐れを利用する仕組みを、フィクションが印象的な形へ変えたと読むこともできます。その観察の鋭さを、超常的な未来予知と同一視する必要はないでしょう。
コーランをめぐる問題は「噂だけの話」ではない


ジョジョの裏話には、OVAの映像表現をめぐって2008年に出荷停止へ至った件もあります。当時のJ-CASTニュースの報道は、アニメDVDと原作の一部について集英社が出荷停止を発表したと伝えています。

これは予言説とは種類が違い、当時の報道を参照できる出来事です。ただし、一場面の画像だけから、作者や制作側が宗教を攻撃する意図を持っていたと決め付けることはできません。OVA、テレビアニメ、原作を混ぜずに扱う必要もあります。
荒木飛呂彦は吸血鬼?ファンが楽しむもう一つの噂


年齢を重ねても印象が変わらない写真から、作者を吸血鬼と呼ぶ冗談も生まれました。吸血鬼が登場する作品と作者の姿を重ねた、ファンの遊びとして読む話です。写真の見た目だけで、本人の健康状態や生活習慣は分かりません。
予言も吸血鬼も、作品の世界が現実へはみ出したように感じるところに面白さがあります。ただ、現実の人物や事件について説明するときは、遊びの解釈を事実へ変えない境目が必要です。
「当たった」と感じた後、もう一度ページを読む
ボインゴのページを事件後の知識なしで見たら、同じ意味を読み取れるでしょうか。刊行時期を確かめ、似ていない点も見たうえで戻ると、偶然の不気味さと、漫画の仕掛けの巧さを別々に楽しめます。
数字や物語を現実の予言として読む都市伝説は、こちらにもあります。
各記事も、噂と確認できる情報を分けてお楽しみください。

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