ポケモン『シオンタウン』はなぜ怖い?BGM・幽霊・ラッタ死亡説を考察

夕暮れの不気味な町と古い塔

イワヤマトンネルを抜けて、ようやく町に着いた。ほっとしたのも束の間、聞こえてくるのは、どこか落ち着かないメロディー。町にはポケモンのお墓があり、女の子に話しかけると、こちらの肩に“白い手”があるかのような、不気味なことまで言われます。

初代ポケモンのシオンタウンは、都市伝説を知らずに遊んでいても怖い町です。

そこへ後から重なったのが、BGMに隠された秘密や、ライバルのラッタが死んだという噂。子どものころに見た場面と、ネットで読んだ怪談が混ざっている人もいるかもしれません。

ゲームに本当にあるのはどの話なのか。シオンタウンで覚えている出来事を、もう一度たどってみましょう。

シオンタウンはなぜ怖い? お墓とBGMが迎える町

シオンタウンがほかの町と違って感じられるのは、ポケモンとの別れを隠さずに描いているからです。いつもの冒険の途中で、急にお墓のある町へ来てしまいます。

カントー地方のシオンタウンに建つポケモンタワーは、亡くなったポケモンを弔うための場所。公式のホラー特集でも、大切なポケモンの魂を慰めに人々が訪れる塔として紹介されています。ポケモン公式のシオンタウン紹介

バトルで負けても、ポケモンセンターへ行けば元気になる。そんな旅を続けてきたところに、お墓がずらりと並ぶ場所が現れます。ここで初めて、旅の相棒にも戻ってこない別れがあるのだと感じた人は多いはずです。

町で流れるBGMも忘れられません。高い電子音が繰り返され、明るい町へ着いたときのようには気が緩まない。お墓の話を聞いたあとだと、同じ音がさっきより不気味に聞こえてきます。

「シオンタウンのテーマ」は、正式なサウンドトラックにも収録された楽曲です。赤・緑版と『ファイアレッド・リーフグリーン』版は、それぞれ別の収録曲として案内されています。ネット上の「初期版」「隠された原曲」という動画と、正規の楽曲を混同しないようにしたいところです。発売元・販売元のサウンドトラック案内

墓碑が並ぶ薄暗い石造りの塔

ポケモンタワーの幽霊と「白い手」は、本当にゲームにある?

シオンタウンの怖い話には、ゲームで確かめられるものもあります。ただ、同じ「幽霊」という言葉でも、すべてを同じ正体で説明できるわけではありません。

正体を見破れる幽霊と、ガラガラの母親

初代のポケモンタワーでは、正体の分からない幽霊に出会います。いつものように戦おうとしても、こちらのポケモンが怖がって動けません。シルフスコープを手に入れると、ゴースなど、相手の正体を見破れるようになります。

一方、上の階への道をふさぐ幽霊は、カラカラの母親だったガラガラです。ロケット団から子どもを守ろうとして命を落とした、という事情もゲームの物語として描かれています。これは、後から付け足されたネット怪談ではありません。ゲーム内イベントと作品ごとの差異をまとめた資料

最初はただ怖かった相手に、守りたかった子どもがいたと分かる。ポケモンタワーを思い出すとき、不気味な姿と一緒に、この話が浮かぶ人もいるのでは。

肩の「白い手」と、ネットで生まれた隠しキャラの話

町にいる女の子に幽霊を信じるか尋ねられ、否定すると、肩にある白い手を話題にされます。白い手について触れる台詞は、実際のゲームにあるものです。英語版の台詞を記録した解析資料でも確認できます。英語版ゲームの台詞記録(非公式解析資料)

画面の中に手が出てくるわけではないのに、自分の肩が気になる。短い会話だけで、ゲームの外まで怖さが追ってくるような場面です。

ただし、ネットで語られる「White Hand」という隠しキャラクターの話は別です。気味の悪い手が戦闘に出る、という話は、シオンタウンを題材にしたクリーピーパスタの中で広まりました。『製品版から削除されたデータだった』などとする筋書きも、ネット怪談の中で語られてきました。クリーピーパスタとは、ネット上で転載や改変を重ねながら広まる怪談のことです。ネット怪談としての紹介

「白い手という台詞がある」ことは確かでも、「その姿をした隠しキャラが正規のゲームにいる」ことまで確かめられたわけではありません。元の台詞が十分に怖いので、そこへ姿や設定が付け加わると、記憶の中でもつながってしまいそうです。

墓碑の前に立つ人物のシルエット

BGMの都市伝説――「シオンタウン症候群」と解析画像の噂

ゲームの町を越えて、現実の出来事として語られるようになったのがBGMの怪談です。ここからは、ゲームの設定ではなく、ネット上で育った話になります。

「昔の日本で起きた事件」という形で広まった怪談

いわゆる「シオンタウン症候群」は、発売初期の音楽に特殊な音が含まれ、それを聞いた子どもたちに重大な異変が起きた、という話です。海外では「Lavender Town Syndrome」の名前で知られています。

発売当時の事故を説明するような書き方なので、昔のニュースを読んでいる気分になりやすいのですが、今回確認した資料では、その事件を裏付ける当時の報道や公式発表は見つかりませんでした。一方、この怪談そのものは2010年ごろからネット上で確認されるようになります。南カリフォルニア大学の民俗資料アーカイブにも、実際の事件の記録ではなく、ネットで聞いた伝説として採録されています。USC Digital Folklore Archives

この怪談を扱った研究では、関連する文章が2010年ごろからネット上に現れ、複数の話や動画へ広がった経緯が整理されています。ゲームの発売は1996年。物語の中で事件が起きたとされる年と、その話をたどれる時期には隔たりがあります。怪談の成立と広がりを調べた研究

昔のゲームで、自分もあの曲を怖がっていた。その記憶があると、「知らなかっただけで、何か起きていたのかも」と思ってしまいます。日付や関係者らしき証言が添えられていると、作り話との境目はさらに見えにくくなります。

音を解析すると、幽霊や文字が現れる?

もう一つ有名なのが、BGMを解析すると幽霊のような図柄や「LEAVE NOW」という文字が現れる、という噂です。文字にアンノーンの姿を使った画像や動画も語られてきました。

ここで使われるのが、音を時間や周波数ごとに色で表すスペクトログラムです。解析画面に図柄が浮かぶと、ただ怪談を読むよりも「証拠を見せられた」感じがします。

ただ、その動画で使われている音が、正規のゲーム音源と同じかどうかは別の話です。後の『金・銀』で登場したアンノーンが初代の音源に現れるという点も含め、メディアではこの解析画像が怪談を補強する材料として紹介されています。今回確認した資料からは、正規音源にそうした図柄が仕込まれているという裏付けは得られませんでした。解析画像の噂を扱った解説

ネットで見た不気味な動画と、子どものころにゲーム機から聞いた曲。どちらも印象が強いだけに、いつの間にか同じものとして覚えてしまうのかもしれません。

古いゲーム機をイメージした音の波形

グリーンのラッタ死亡説――なぜ、お墓のある塔にいたのか

音楽の怪談とは違い、ラッタ死亡説はゲーム内の出来事をつなげたファンの考察です。根拠として挙げられる場面を知ると、いつものライバルが少し気になってきます。

『赤・緑』では、サント・アンヌ号でグリーンがラッタを連れています。ところが、次のポケモンタワーでの戦いでは、その姿がありません。サント・アンヌ号で使っていたラッタは、その後のポケモンタワー戦では手持ちから外れています。手持ちの変化を紹介した記事

しかも再会する場所は、ポケモンを弔う塔です。グリーンは主人公に、ポケモンが死んだのかと尋ねる趣旨の言葉をかけます。そこから「ラッタを亡くして、お墓参りに来ていたのでは」という説が語られるようになりました。

船でのバトルが原因だった、治療が間に合わなかった、と説明されることもあります。ただ、その経緯を語る台詞や場面があるわけではありません。手持ちから外れた理由には、別のポケモンに入れ替えたという考え方もできます。

公式特集も触れているが、「ラッタ」とは明言していない

実は公式のホラー特集でも、ライバルがポケモンタワーへ来ていた理由が話題になっています。そこで示されるのは、大切にしていたポケモンに会いに来たのかもしれない、という推測です。公式特集のライバルに関するやり取り

公式サイトにそんな話が載っていると、思わず「やっぱりラッタだったの?」と感じます。ただ、そこではラッタの名前も、死亡した経緯も明かされていません。可能性をにおわせる会話と、確定した設定は分けて読んでおきたいところです。

それでも、この説を知ってから塔で会うグリーンは、以前と同じには見えないかもしれません。憎まれ口をたたく彼にも、主人公には話していないことがあったのか。その想像が、短い再会の場面に残ります。

後の作品では、シオンタウンはどうなった?

シオンタウンは初代だけの町ではありません。時間が進んだ作品と、初代の物語を描き直した作品では、塔の姿も出来事の見せ方も違います。

『金・銀』や『ハートゴールド・ソウルシルバー』では、ポケモンタワーはラジオ塔に変わっています。亡くなったポケモンを弔う場所は「たましいのいえ」へ受け継がれており、お墓がなくなって何もかも忘れられた、という話ではありません。後年の町と施設の変化

一方、『ファイアレッド・リーフグリーン』では再びポケモンタワーを訪れます。『Let’s Go! ピカチュウ・Let’s Go! イーブイ』でも、カラカラと母親のガラガラにまつわる出来事が描かれていますが、再会の場面など演出には違いがあります。作品ごとのイベントの違い

リメイクの映像を見て「初代でもこんな場面があった」と思ったら、少し立ち止まってみてください。初代の短い台詞、後の作品で加わった演出、ネットで読んだ話。それぞれを比べると、自分が何を怖がっていたのかも分かってきそうです。

シオンタウンの事実・考察・ネット怪談を整理した図解

もう一度シオンタウンへ行くなら、誰の話を覚えているだろう

シオンタウンを訪ね直すときは、ネットで読んだ筋書きだけでなく、町の人が実際に何を話していたかも聞いてみてください。

  • 女の子が白い手の話をするのは、どんな返事をしたときか。
  • シルフスコープを使う前と後で、幽霊はどう変わるのか。
  • グリーンは何を話し、どんなポケモンを連れているのか。

症候群や隠しキャラの話が、ネットで育った怪談だと分かっても、町の不気味さまで消えるわけではありません。白い手の台詞も、ガラガラの幽霊も、大切なポケモンを弔う人々も、ゲームの中に残っています。

ラッタがいなくなった理由は語られないまま。でも、塔に来ていたグリーンを見て、何かを想像したくなる。その余白があるから、シオンタウンの話は今も気になるのでしょう。

次にあの曲が聞こえてきたら、すぐ町を出ずに、もう一度話しかけてみてください。昔は怖くて飛ばしてしまった一言を、今なら違う気持ちで読めるかもしれません。

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この記事を書いた人

アニメやゲームにまつわる都市伝説・裏設定・怖い噂・考察を調べるのが好きなサイト管理人です。

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