誰も住んでいないはずの洋館で、少女と老人らしき人影を見かける。後を追っても、もういない。部屋の絵には赤い目が光り、夜にはテレビからロトムまで現れます。
ポケモンの「森の洋館」は、そんな不気味な出来事がいくつも重なる場所です。では、この洋館では何があったのでしょうか?
少女と老人をめぐる話から、一家惨殺・毒殺説、ナタネやウラヤマにまつわる考察まで。ゲームで確かめられることと、プレイヤーの間で広まった噂を分けながら、洋館をのぞいてみましょう。
森の洋館はなぜ怖い? 人が消えても説明がない
森の洋館では、妙なものを見ても誰も説明してくれません。何が起きたのか分からないまま、次の部屋へ進むことになります。
場所はシンオウ地方、ハクタイの森の奥。『ダイヤモンド・パール』『プラチナ』に登場し、リメイクの『ブリリアントダイヤモンド・シャイニングパール』(以下、BDSP)でも訪ねられます。場所・登場作品の確認資料
町で人に会ったら、まず話しかける。ポケモンでは当たり前の行動ですが、洋館の人影にはそれができません。姿を見つけて部屋を移動したのに、誰もいない。「さっき、そこにいたよね?」と、つい引き返したくなります。
そこへ流れてくるのが、あの落ち着かないBGMです。曲名「もりのようかん」はサウンドトラックにも収録されています。足を止めていても音楽だけは続くので、何も起きていない時間まで妙に気になってしまいます。怖さの感じ方は人それぞれですが、怪談を知らずに入っても身構えてしまう場所です。楽曲の収録情報

女の子と老人の幽霊――館内で起きる怪現象
洋館で特に印象に残るのが、少女と老人のような二つの人影です。赤い目の絵も含め、まずはゲーム内の演出を見ていきましょう。
隣の部屋から出ていく少女、食堂を横切る老人
2階では、ある部屋に入ると隣の部屋に少女が見えることがあります。少女は出口へ向かいますが、追いかけても廊下では会えません。1階の食堂には老人の姿も現れます。二人とも、足を動かして歩くというより、すっと滑っていくように見えるのが不気味です。人影の場所と動きの確認資料
何かを伝えたいのか、それともこちらには気づいていないのか。話しかけられないので、見ている側には分かりません。幽霊と呼ばれてはいますが、誰の姿なのかまでゲームで明かされているわけではありません。
同じ洋館に少女と老人がいれば、家族だったのかもしれないと思いますよね。ただ、二人が一緒に暮らしていた場面や、その関係を説明する会話は確認できません。ここが、いろいろな物語を想像したくなるところです。
赤い目の絵は、こちらを見ている?
2階には赤い目が光る絵もあります。BDSPの攻略資料では、近づくと目の光が消え、離れると再び光る演出が確認されています。絵の演出の確認資料
近くで確かめようとすると消えるのに、離れるとまた光っている。背を向けたところを見られているようで、つい振り返りたくなります。少女や老人を見たあとなら、なおさらです。

一家惨殺説・毒殺説は、どの手がかりから生まれた?
こうした怪現象に、館内で拾える道具を結びつけたのが事件説です。一つひとつは普通のアイテムでも、幽霊のいる屋敷で見つかると意味ありげに見えてきます。
ゴミ箱の「どくけし」と、少女の部屋の「みがわり」
よく挙げられるのは、食堂側のゴミ箱にある「どくけし」と、少女が現れる部屋に置かれたわざマシン「みがわり」です。BDSPでも、この配置を攻略資料で確認できます。道具の配置
なぜ、毒を治す道具が捨てられているのか。「誰かが毒を使い、助けるためのどくけしを捨てたのでは?」という想像が生まれます。さらに「みがわり」を誰かの犠牲と読み、少女と老人を被害者に重ねる。こうした手がかりをつなげて、毒殺や一家惨殺の説が語られるようになったと考えられます。
2007年に最終更新されたファンWikiにも、どくけしの配置から事件性を疑う記述が残っています。最初の発信者までは分かりませんが、最近の動画だけで生まれた噂ではなさそうです。当時のファン資料
ただし、これはファンが道具や人影をつなげて考えた話です。どくけしがあっただけで毒殺は確定しませんし、「みがわり」はもともとポケモンの技の名前です。ゲーム内に事件を説明する台詞があるわけでもありません。
それでも広まったのは、洋館の中に「何かあったのでは」と思わせるものが揃っているからでしょう。誰もいない屋敷、消える人影、捨てられたどくけし。別々に見るより、つなげて考えたときのほうがずっと怖くなります。
ナタネ犯人説、ウラヤマ関係者説はどこまでつながる?
ナタネが疑われるのは、洋館の前に来ているのに中へ入ろうとしない姿を、意味深に受け取った考察です。
公式のホラー特集では、ナタネは幽霊の噂を気にして洋館まで来たものの、幽霊が苦手で中へ入れない人物として紹介されています。まず押さえておきたいのは、この説明です。「本当は事件を知っているのでは」という犯人説は、そこから先のファンの想像になります。ナタネについての公式紹介
もう一人、別の屋敷の主人であるウラヤマを関係者と見る説もあります。手がかりにされてきたのは、二つの屋敷の像が似ていることなど。当時のファンの間では、像をめぐる説も語られていました。ウラヤマ説が語られていた記録
立派な屋敷の品物が、荒れ果てた洋館とつながっていたら……と考えると、気になる説ではあります。ただ、像が似ていることと、実際に持ち去ったことは別です。今回確認した公式情報に、ウラヤマやナタネが事件を起こしたと分かる説明はありませんでした。
公式も紹介した「祖父と孫」の噂は、確定した真相ではない
森の洋館には、殺人事件とは違う話もあります。しかも紹介しているのは、ポケモンの公式サイトです。
ポケモンだいすきクラブの特集には、ポケモンを追って洋館へ入った少女が戻らず、探しに行った祖父も帰ってこなかった、という話が載っています。少女と老人を「祖父と孫」と結びつける物語です。公式特集の該当箇所
ただ、ここは読み飛ばせません。公式ページ自身が、この話を「ネットのオカルト仲間」から聞いた話として紹介し、最後には「ただのウワサ」としています。
公式サイトに掲載されていることと、ゲームの真相として確定していることは別です。 公式が少女と老人の身元を明かした、と受け取るのは早いでしょう。
とはいえ、こんな話を知ると、少女の後を追うときの気持ちは少し変わります。あの老人は今も孫を探しているのかもしれない。少女のほうも、出口を探しているのかもしれない。殺人説とはまた違う、寂しさの残る噂です。
テレビから現れるロトムは、人影と関係がある?
森の洋館では、夜にテレビを調べるとロトムに出会えます。ゴーストタイプでもあるこのポケモンを知ると、人影との関係も気になってきます。
ロトムは、通常の姿ではでんき・ゴーストタイプ。公式図鑑には、プラズマの体を持ち、電化製品に入り込む性質が記されています。テレビから現れるのも、ロトムらしい登場の仕方です。公式図鑑「ロトム」
では、少女や老人もロトムのいたずらなのでしょうか。そう想像することはできますが、今回確認した公式情報に、人影とロトムを同じ存在だとする説明はありません。テレビの謎が一つ分かっても、二人のことはまだ分からないままです。

ロトムに出会う条件は作品で違う
久しぶりに洋館を訪ねるなら、ロトムの出現条件だけ覚えておくと探しやすくなります。
- ダイヤモンド・パール:全国図鑑入手後、夜にテレビを調べる。
- プラチナ:森の洋館へ入れるようになった後、夜にテレビを調べる。
- BDSP:全国図鑑入手後、夜にテレビを調べる。
これはロトムに出会う条件で、少女や老人が現れる条件ではありません。DS版の条件・BDSPの条件
なお、『プラチナ』に登場する「ひみつのへや」は、ギンガハクタイビルにあるフォルムチェンジ用の部屋です。森の洋館に隠された事件の部屋、という話ではありません。プラチナ公式紹介
森の洋館以外の怖い噂も気になる方は、ポケットモンスターの都市伝説《怖い話と裏設定》もどうぞ。
BDSPと公式アニメで、洋館の見え方はどう変わる?
森の洋館は、リメイクや公式アニメにも登場します。昔プレイした記憶と見比べると、また違った怖さがあるかもしれません。
BDSPでも、人影や赤い目の絵、テレビのロトムといった不気味な演出は残っています。DS版で知っている人でも、BDSPで改めて見ると不気味さは十分残っています。ただ、演出が引き継がれたからといって、ネット上の殺人説まで認められたわけではありません。リメイク版の確認資料
公式アニメ『ポケモンジェネレーションズ』第10話も、森の洋館が舞台です。ゲームでは短い出来事として目にする洋館を、映像作品で味わう楽しみがあります。アニメならではの描写もあるので、ゲームの少女や老人について考えるときは、どちらで見た場面かを思い出してみてください。公式公開動画「The Old Chateau」

もう一度入るなら、噂より先に見ておきたい場所
一度噂を知ってしまうと、洋館の何もかもが事件の証拠に見えてきます。次に遊ぶときは、少しだけ噂を脇に置いて歩いてみるのも面白そうです。
- 少女が見える部屋と、消えていく方向。
- 食堂の老人が通り過ぎた先。
- 近づいたとき、離れたときの絵の目。
- どくけしや「みがわり」が置かれている場所。
どくけしから毒殺を想像する人もいれば、使われなくなった屋敷の持ち物と考える人もいるでしょう。少女と老人に悲しい過去を感じる人も、ゴーストポケモンのいたずらだと思う人もいるはずです。
人影や道具は、ゲームの中で確かめられます。でも、それらがどんな過去につながるのかは、はっきりとは語られていません。見えるものはあるのに、肝心なところが分からない。その余白も、森の洋館が気になる理由なのだと思います。
次に少女を見かけたら、また隣の部屋をのぞいてしまうかもしれません。何もいないと分かっていても、もう一度確かめたくなる。森の洋館は、そんな場所です。
